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注目記事 (2004/6/21)

Opinions:
 
「新しい日本の国のかたち」 小林陽太郎 (富士ゼロックス会長・国際大学理事長)
  
   第二次世界大戦後、日本の経済復興を支えたのは、政官財の緊密な連携、労使協調・効率重視型の経営モデル、そして How to を徹底する教育からなる緊密なシステムであったが、今やこれは様々な歪を生む原因となっており、日本には、新しい国の形が求められている、と小林氏は指摘する。
   国内的には、まず家庭の社会的安定機能や親子教育を見直すべきであるが、このためには、企業の社会的責任(CSR)の一環として、ワーク・ライフ・バランス経営を行う必要がある。次に、政官財が国の意思決定を行うという仕組みを変更し、地方分権を実施し、NPOにも「公」を担ってもらうべきで、これが市民社会(シビル・ソサエティ)の重要な側面となる。そして、教育面では、従来の How to 教育を見直し、主体的に考えることができる若者を育てる必要がある。
   国際的観点からは、以前の冷戦下には米国の忠実なパートナーをつとめることが日本自身と周辺地域の安定に貢献したが、21世紀の重要な二国間関係は米中関係となることは間違いないことを踏まえ、その中で、どのような日米及び日中関係を形成して行くべきか、EUの例も参考にしつつ、政官財に民を加えて検討すべきである。
   これらの変化は実は既に発生しつつある。今後は、個々の変化の兆しを一時的な流行に終わらせず、それぞれの定着を図るとともに、大きなシステム全体の変革につなげていくことが必要である。
英語の原文: "A New Profile for Japan"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040621_kobayashi_new/
 
Debates:
 
「新たな時代の新たな枠組み」 船橋洋一 (朝日新聞特別編集委員)
  
   船橋氏は、北東アジア地域で新たな安全保障の枠組みが展望されるという。韓国では、先の小泉総理の訪朝について概ね好意的な見方が伝えられているが、同国の一部主流派からは、北朝鮮の核と日本人の拉致問題を別扱いにすることなどが主張されている。先に発表された在韓米軍の縮小については、韓国では縮小自体もさることながら、事前に米国から相談が無かったことがより大きく問題視される一方で、中国との関係にも非常に気を遣っている。日米関係、米韓関係がそれぞれ二国間のみならず東アジア地域の安定に重要な役割をもつようになった今、先の「日米安全保障共同宣言」のようなものを、日米韓の三カ国で行うことも考えられるが、この場合、中国の動向にも留意する必要がある。しかしこれらのバランスの上に、新たな枠組みを検討して行くことは必要である。
英語の原文: "A New Framework for a New Era"
http://www.glocom.org/debates/20040618_funabashi_new/
 
Debates:
 
「更に力を得る右派の主張」 グレゴリー・クラーク (国際教養大学副学長)
  
   日本の右派勢力は、先の小泉総理による北朝鮮との関係正常化努力に対し、強い非難を浴びせており、その結果、日本全体が右傾化している、とクラーク氏は懸念する。
   小泉総理の訪朝に際しては、北朝鮮側は元々家族は日本に返すつもりであったこと、人道的援助の再開は、そもそも家族の帰国が不透明になった時点で日本側が停止していたものであり、新たに身代金として取られるものではないこと、ジェンキンズ氏の訪日が困難であることは予め分かっていたことなどから、巷間伝えられる多くの非難はあたらない。また、残りの拉致被害者について、再調査の言質を引き出したのは大変な成果であり、核開発については、米国が名指しで悪と非難している現状、北朝鮮の立場としては、小泉総理に言われたからといって核を放棄することは困難である。自衛隊を重用し、靖国神社に参拝する小泉総理が、右派から非難されるのは皮肉であるが、元々逆の立場であるはずの民主党や朝日新聞などまでが、反平壌の先鋒に立つようになってしまった。そして、右派は更に強硬な主張を始めている、とクラーク氏は指摘する。
英語の原文: "Shifting Rightwing Goal Posts"
http://www.glocom.org/debates/20040618_clark_shifting/
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