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注目記事 (2004/8/9)

Opinions:
 
「東アジア地域の秩序再考:戦争でも平和でも無く」
 猪口 孝 (東京大学教授)
  
   猪口氏は、東アジア地域の国際秩序は今も昔も的確に把握するのが容易ではないと指摘し、これは、この地域が非常に複雑且つ豊かな歴史を持っているからであると述べる。この点を説明するために、東アジア地域の秩序を巡る四つの議論を紹介する。
   四つの議論とは;中国による支配かあるいは各国勢力が拮抗する体制か;公式な枠組みや制度に基づく秩序かそれとも非公式な緩い関係か;中国を競争相手と見なすか協調する仲間と見なすか;そして、米国の一国主義に同調するか距離を置くか、である。
   これらの議論をそれぞれ検討してみると、どのような説であっても、一つの主義に基づいた理論では何れも現実を説明するのは困難であることが分かる、東アジア地域を把握するための視点は、特定の思想に拘泥することなく、事実に照らして進化発展させることが重要である。
英語の原文: "Rethinking the International Order in East Asia: Neither War Nor Peace"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040809_inoguchi_rethink/
 
Debates:
 
「『信頼』こそが資本主義の基礎」
 吉田 進 (住友化学工業国際関係参与)
  
   吉田氏は、過去十年間にわたり、公私企業に対する人々の信頼が失われてしまったことは、日本にとっての大きな損失であり、経営者は信頼の回復に努めなければならない、と指摘する。
   バブルが崩壊する過程で、違法・不当な取引・経営が問題化することになった。しかも、このような流れは日本に止まらず、最も進化した会計慣行と企業統治の透明性を誇る米国でも、企業経営者の大規模な不正行為が続々と暴露されるに至った。最近日本では、某自動車メーカーが問題になっているが、これは、長年の悪弊が表面化したものである。
   経済発展のためには、社会主義より優れたシステムであることが実証された資本主義ではあるが、決して完璧な仕組みなどではなく、資本主義を支える最も重要な要素は「信頼」であることを、経営者は肝に銘じて企業の運営にあたる必要がある。
英語の原文: "'Trust' is the Foundation of Capitalism"
http://www.glocom.org/debates/20040804_yoshida_trust/
 
Debates:
 
「拡大する貧富の較差」
 佐和隆光 (京都大学教授)
  
   佐和氏は、今の日本の経済政策は、貧富の差を拡大させるだけだと指摘する。
   英語の原題に暗示されているとおり、今の日本の経済政策は、強い部分を更に強化することにより、弱者へも徐々にその富が滴って行くという「トリクルダウン理論(浸透理論)」を採用しているが、この効果は現れていない。
   そもそもこの理論は、ケインズ流経済政策が行き詰まったように見えた1970年代末から、ケインズに対するアンチテーゼとして採用されたサッチャリズム・レーガノミックスにおいて用いられた論法であるが、90年代になってから、これらの市場至上手法の限界も明らかになっている。日本は二十年遅れて試行に踏み切ったが、現在の脱工業社会では、強者から弱者への浸透効果は見られず、寧ろ貧富の差はどんどん拡大している。
英語の原文: "Thirsting for Just a Trickle"
http://www.glocom.org/debates/20040803_sawa_thirsting/
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