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注目記事 (2004/9/21)

Opinions:
 
「バブル経済 − 我々は何を学ぶことができたか?」
 行天豊雄 (国際通貨研究所理事長)
  
   日本が経験したバブル経済については、既に数多の検証が行われているが、行天氏は、今回、なぜ・どうしてバブルが発生したのかについて改めて考察を行う。
   バブル発生の直接の原因が経済への急速な流動性の注入にあることは明らかであるが、なぜそうなったか。今からみれば非常識かも知れないが、80年代後半には、経済成長により不動産価格が上昇することは当然と思われていた。また、日銀は、不動産価格の上昇が一般物価上昇とは異なるとの考えから、自らに関わる問題という認識が乏しかった。しかし89年には本格的な物価上昇が始まり、危機意識をもった日銀は公定歩合の急速な引上げを行い、政府側も不動産向け融資規制を発動、バブルは破裂した。
   その後の様々な分析から色々な教訓が得られた中で、バブル発生を防げなかった重要な理由が四つあげられる。円高・日米貿易不均衡・財政赤字等、経済の諸分野に表れていた危険の兆候を正しく評価できなかったこと。構造改革を推進すべきであったにもかかわらず、円高対策に躍起となるという、経済政策としての目標設定を誤ったこと。国内需要喚起政策として、財政の出動がないまま、金融緩和に偏りすぎたという形で、政策の手段を間違えたこと。そしてようやく金融引き締めが実施されたのは遅きに失した89年、しかもその遅延を取り戻すかのように、急激・大幅の引き締めを行うという、いわば政策実施のタイミングを間違えたことである。
   そして、なぜこのように幾重にも間違えを重ねたのかに答えるためには、日本の政策決定構造にも触れなければならない。非力な日銀、傲慢な財政当局、既得権保持に跋扈する政治家、そして指導力を発揮せずに理念無き妥協を図るばかりの政府、更には、信念や先見性に乏しいまま大衆迎合と日和見主義に脱したメディアも一角を担った。
英語の原文: "Asset Price Bubbles - What Have We Learned?"
http://www/opinions/essays/20040921_gyohten_asset/
Debates:
 
「六カ国協議 - 常識を超えた展開の可能性」
 ラルフ・コッサ (CSIS 太平洋フォーラム理事長)
  
   コッサ氏は、常識に鑑みれば、北朝鮮の核開発を巡る六カ国協議は米大統領選まで進展は無いというのが順当であろうが、それまで進展の可能性が無いとは言いきれないと述べる。
   ブッシュ政権にとって、早期の協議再開が選挙戦で有利に作用する一方で、北朝鮮にとっても、ここで協議に乗って置く方が、中期的に政権の安定に寄与するとも考えられる。仮にブッシュが再選されると、改めて北朝鮮に対する締め付けが厳しくなるだろう。それに対するヘッジとして、交渉に応じる姿勢だけでも見せて置こうとする可能性はある。瀬戸際外交と言う、予断を許さない手法が北朝鮮のお家芸であり、従来の常識に捉われることなく、注視を続ける必要がある。
英語の原文: "Six-Party Talks: Challenging the Conventional Wisdom"
http://www.glocom.org/debates/20040914_cossa_six/
Debates:
 
「北朝鮮による『米提案つぶし』戦術」
 ラリー・ニクシュ (米議会調査局専門調査官)
  
   ニクシュ氏は、去る6月の六カ国協議で米国が提案した諸条件をたたき台として、今後の対北朝鮮交渉にあたるべきである指摘する。
   6月23日の会合で、米国は、北朝鮮に対し、安全保障と原油の供給を織り込んだ提案を行った。その際の北朝鮮の反応は明確なものでは無かった。しかしその後一ヶ月あまり経ってから、当該提案に対し、検討に値しない侮辱的なものとして激しい非難を行うようになった。この背景には、両国以外の四カ国の何れからも(日本からさえも)米提案内容への支持が表明されなかったことがある。また、この提案を潰すことによって、北朝鮮としては更に時間稼ぎが出来るとの読みがあったと思われる。協議参加各国は交渉を白紙に戻すのではなく、米提案をたたき台として利用しつつ、今後の交渉を進めるべきである。
英語の原文: "North Korea's "Kill Strategy" Toward the U.S. June 23 Proposal: How It Happened and Why It Is Important"
http://www.glocom.org/debates/20040914_niksch_north/
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