GLOCOM Platform
debates Media Reviews Tech Reviews Special Topics Books & Journals
Newsletters
(Japanese)
Summary Page
(Japanese)
Search with Google
注目記事 (2005/1/17)

Opinions:
 
「日本経済:今後の展望」
 行天豊雄 (国際通貨研究所理事長)
  
   日本経済は昨年になってバブル崩壊後の停滞からやっと抜け出すことができた。昨年後半には回復の勢いが弱まったが、これは、主として一時的要因に拠るものであり、悲観的になる必要はない。ただし日本経済がバブル崩壊の後遺症を完全に脱して再び黄金時代を迎えるためには内外に多くの難しい課題が山積している。
   国外では、円の対ドル相場上昇がある。ドル安の最大の原因は米国の経常収支の赤字であるが、今のような赤字の増大は永続きできず、いずれドルの暴落と米国経済の深刻な停滞を齎すだろうと懸念されている。もしそうなれば、巨額のドル建資産を持ち、米国への輸出に大きく依存している日本経済には大きな打撃となる。米国の赤字を減らす方法は三つ、米国が個人消費や財政赤字を減らすこと、日本を含めた貿易相手国が輸出依存を減らすこと、そしてドル安にして米国の貿易収支を改善することである。しかし、米国の赤字の縮小は米国自身にとってのみならず、貿易相手国にも痛みと負担を強いるものである。従って、米国の赤字縮小はゆっくり行われなければならない。そして日本経済は自らの負担も覚悟して協力しなければならない。
   もう一つは中国経済の動向である。日本経済の大事なパートナーになった中国は目下高度成長を続けているが、同時に様々な分野で世界経済に対する大きな波乱要因にもなっている。中国が国際経済体制の中で信頼される一員になることは、中国自身のみならず日本にとっても死活に関する問題であり、日本は政府・民間の両面でこれをサポートして行かねばならない。
   国内では、現在の高く安定した生活水準を維持するために、改革は更に徹底して行う必要がある。特定の経済分野への保護や規制を撤廃して各業態、各企業が国際的競争力を具えるよう国内外での競争を推進する、そのためには、強力に改革を進める強い政治の力と、そこで生ずる犠牲に対する暖かい対応の二つが基本となる。
   中長期的には、人口減少対策や財政再建といった深刻な課題が待っているが、こういう課題に対しては一貫した長期的政策と同時に着実に一歩一歩を進めるという粘り強さの両方が必要である。
   バブル崩壊後の停滞を経て日本は多くの貴重な教訓を学んだ。その成果が少しずつ実り始めた現在必要なのは、世界は日々変化を続けているという事実を充分に認識することと、日本自身も過去のしがらみや経験を絶えず見直して自己改革を進めるという強い意志であろう。

英語の原文: "The Japanese Economy: 2005 and Beyond"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20050117_gyohten_japanese/
Debates:
 
「津波災害:機を捕らえた日本」
 ブラッド・グロッサーマン (CSISパシフィック・フォーラム調査主任)
  
   日本は、インドネシア沖津波災害救助活動に際し指導的役割を果たした。これには、被害者救済と外交戦略という二つの面があるが、今回の日本の行動は、日本が目標とする「普通の国」とはどういうものかを実際に示す良い機会となった。
   今回の津波災害に対する各国の援助は、金額の多寡に加え、援助国の政治的思惑が世界的に憶測の対象となった。その中で、日本は早々と巨額の援助、被害国の債務の免除、そして津波警報システム設営援助などの方策を打ち出した。中でも特筆すべきは、千人を越える規模の自衛隊派遣である。これらの施策を発表する都度、小泉首相は、「世界のそして地域の一員としての責任」について触れた。
   救済活動の規模と金額、そして自衛隊の活動は、アジア各国に対し、未だやはり日本こそが地域の諸問題について頼ることが出来る存在であるとの印象を強くさせた。特に、日本は新興の強国である中国に振り回されているばかりでは無く、独自の立場で行動することが可能であるということが示されたことが大きい。と同時に、今回の自衛隊の活動が復旧援助にあることに異議を挟む余地は無く、日本の最近の積極的外交姿勢が、地域の安全保障の撹乱要因では無いことが証明された。この自衛隊の新しいイメージは、日本国民にとっても重要である。異論が多いイラクへの派遣と異なり、今回の被災地への派遣に反対する国内の動きは事実上皆無である。
   今回の恐ろしい災害に対して採った日本の行動は、今後日本がどのような形で地域や世界に関わって行くかを如実に示す好例となった。

英語の原文: "Tsunami Tragedy: Japan Seizes the Moment"
http://www.glocom.org/debates/20050114_gloss_tsunami/
 Top
TOP BACK HOME
Copyright © Japanese Institute of Global Communications