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注目記事 (2005/5/9)

Opinions:
 
「大学間格差が拡大する」
 佐和隆光 (京都大学教授)
  

   国立大学の行政法人化から一年が経過し、メリットとデメリットが徐々に明確になってきている。
   例えば予算の問題である。2005年度以降、国からの運営費交付金が1%程度ずつ削減される代わりに、特別教育研究経費枠が設けられた。この結果、教育研究に新たな取り組みを行う大学は、競争的予算を受領することにより、運営費交付金の減少を賄うことが出来ることになった。
   効率化も必要である。京都大学には、三千人の教育陣に対し千五百人の教育に携わらない人員が居るが、これは明らかに過剰である。例えばイリノイ大学では、管理専任者は秘書を含め四人のみであった。管理部門全体としては最大200-300人位居た時もあるが、それらの殆どは、外部からの補助や寄付を得るための活動に従事していた。
   これらの要因を勘案すると以下のことが言えよう。即ち、有能な教育陣を揃えることに成功し、競争的予算(補助金)を多く獲得することができ、組織の効率化を図り、更に外部からの資金援助を十分に受けることができる大学にとっては、行政法人化はメリットであったが、他方、現状維持を志向する大学にとってはデメリットであった。
   これから懸念されるのは大学間の格差拡大である。多様性より均一性を重んじる日本において、大学の「ランキング」はより大きな意味を持って来よう。その結果、大学間の競争は一部の強力な勝者を生むという一方的な展開になりかねない。

英語の原文: "University Gap Set to Widen"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20050509_sawa_university/
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