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注目記事 (2006/6/19)

Opinions:
 
「米国から見た日本と中国」
 目良浩一 (南カリフォルニア大学教授)
  
  中国と米国
  米国から中国を訪問する度に感じるのは、中国人の自国経済に対する強い自信と外国人に対するビジネスのうまさである。特に先進国から「良いもの」は何でも取り入れる一方で、そのためのコストは、世界の中で中国が注目されている状況を利用して、できるだけ小さくすることに成功している。
  それと同時に、中国当局者は自分達に対する要求や批判にどう対処すべきかを知っており、例えば米国政府などから圧力がかかっている人民元の切り上げは徐々に行なうであろう。中国人は極めて現実的な行動を取り、またすべての問題で多様な意見を持つ人がいるので、中国を一枚岩としてみるのは正しくない。
  他方、米国では経済力と軍事力を急速に増している中国に対する批判が高まっており、中国の対応はあまりに不十分という人も多い。しかし、中国人は米国に対するぎりぎりの線をわきまえており、最低限の対応によって問題の火消しを行うので、両国間の危機的な状況は避けられるであろう。
  日本と米国
  米国から見ると、日本は小泉政権のもとで経済構造の改革を行い望ましい方向に進んでいる。改革により日本経済は破綻の淵から長期的な景気回復へと驚異的な再生を遂げて今日に至っている。それが無駄な公共投資などによってではなく、規制緩和や民営化による経済の刺激によってもたらされたことに注意すべきで、それこそ小泉改革の真髄に他ならない。
  小泉首相は日本が中国や南北朝鮮に対応するために米国の支持が不可欠であることを知っており、そのために「日米関係が良いほど、日本はアジアとの関係をより改善できる」と明言した。この発言は国内外で厳しく批判されたが、小泉首相は有言実行で、中東に対する米国の立場を支持し自衛隊をイラクに派遣したのである。
  私の意見では、これまで緊密な日米関係は特に小泉政権とブッシュ政権のためにプラスになったが、日本はやがて将来アジアの地政学的状況が変化するにつれて異なった視点から日米関係を見直さざるをえなくなる。米国の覇権を今の水準に維持することは困難で、日本は将来に向けていろいろなシナリオを準備しておくべきであろう。それとともに、日本は高齢化、エネルギー、環境といった長期の問題を克服し、国内の生活水準と海外での外交力を維持増進していかねばならない。そのための鍵は、経済社会の生産性と効率を改善する技術革新にあるといえる。
  新しい国家モデル
  日本が必要なのは、国際的には超大国ではないが、経済と道徳の面で影響力を持つような新しい国家モデルである。この点で日本は美しい自然、洗練された文化、正直で勤勉な国民といった貴重な資源を持っている。ただし、日本のような国が米国と中国というニつの超大国にはさまれて、どのように長期的に生きのびていくかが根本的な問題である。
  ここで、すでに東アジアに実在する「新しい国家モデル」を指摘したい。それは韓国である。韓国は中国と日本という二つの大国にはさまれて生きのびるとともに繁栄して、米国の支持もとりつけた。さらに最近では中国への投資を増やして関係改善を図っている。またハイテク製品だけでなく、韓国映画や音楽を通じて伝統的文化を輸出して、アジアで大きな人気を博している。この点で日本は、自然、文化、道徳に重点を置き、超大国にならずに生きのびて繁栄するための新しい国家モデルを探求する上で、韓国から学ぶことができるであろう。

英語の原文: "Japan and China from the U.S. Viewpoint"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20060619_mera_japan/
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