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注目記事 (2006/12/04)

Debates:
 
「ロシアの南進」
 マイケル・リチャードソン (防衛問題専門家、東南アジア研究所(シンガポール))
  
  ロシアはプーチン大統領指導の下、武器とエネルギーの供給を梃子に、アジア地域への影響力を強めている。旧来からの武器輸出先であったインドを引き続き大口顧客として繋ぎとめて居ることに加え、最近、中国への武器輸出が急速に増大し、主要な顧客として成長しつつある。1995には、ロシアの武器輸出の45%(60億米ドル相当)が中国向け、40%がインド向けであった。
  ここへ来て、インドネシアがロシアの武器に興味を示している。先週、ユドヨノ大統領は[日本に続いて訪問した]モスクワで、10億ドル相当の武器購入のための借款受入に調印した。
  1992年、東ティモール紛争に於いてインドネシア軍が抗議団体メンバーを殺害したとして、米国は同国向け武器輸出を停止した。本年になって禁輸は解除され、両国の関係は改善を見せているが、インドネシアとしては、武器の供給を一国に頼ることの危険を認識するようになった。同国の武器輸入の65%は現在米国からであるが、これは近いうちに50%まで低下する見込みであり、ロシアは好条件を提示してこのギャップを獲得しようと懸命である。
  中・印・インドネシアというアジアの巨大な三国が何れもロシアの武器供給に頼るという状態は、西側陣営にとっては懸念とならざるを得ない。このうち、インドについては、米国とも緊密な関係を維持して居るが、中国の場合は、自ら軍事力強化に邁進しているなかで、ロシアと呼応しての、地域の重要な西側同盟国である日本に対して圧力を加える動きが懸念される。
  インドネシアについては、日本と交渉中のEPAに期待がもてる。重要な貿易相手国としての日本との間に互恵的な経済連携協定を結ぶことができれば、豊かさを齎さない(ロシアの)武器などは国のためには大して役に立たないことに気づくであろう。

英語の原文: "The Russians are Coming"
http://www.glocom.org/debates/20061201_richardson_russians/
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