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注目記事 (2007/1/29)

Debates:
 
「安倍首相の積極外交:米国からの視点」
 ブラッド・グロッサーマン (CSISパシフィック・フォーラム常務理事)
  
  日本の外交と安全保障政策を再構築しようという安倍首相の決意が就任以来の行動で具体的に表れてきている。
  まず就任後初の訪問国として韓国と中国を選んだことは、日本の新しい外交戦略を示唆したものであった。但しこの訪問が米国を軽視しているとの指摘は当たらない。両国への訪問は、米国からの激励もあって実現したものだからである。
  その後安倍首相は、国連安保理での議席獲得への再挑戦を表明した。更に東アジアサミットでは、途上国における環境保全とエネルギーの効率的使用促進に対し巨額の拠出を発表し、また地域の海上警備を積極的に支援することを約束した。アジア各国とは、EPAを通じる連携を強化している。
  防衛省への昇格や日本版NSCの創設も大きな前進である。そして欧州歴訪も画期的なものであった。特にNATOにおいて、自衛隊の海外派遣を厭わない、と語り、更に、価値観を同じくする国々との連携を強めると述べ、NATOをパートナーと呼び協力を呼びかけたのは画期的であった。
  首相が掲げる憲法改正は大変な政治的戦いとなろう。安倍首相の比較的保守的なスタンスは、前任者のような強い国民の支持を常に得ることは難しいであろう。また、安倍政権は既に汚職やスキャンダルに侵されており、求心力に不安も見えはじめている。
  米国では、日本の新しい積極外交姿勢に好感を覚える向きが多い。しかし表向きの支持は慎重でなければならない。日本の人々に、米国が日本の国内問題に口を挟んでいると思われたら、全く逆効果となるからである。
  米国と日本が連携を強めるためには、長期的視野に立った話し合いが必要であるが、そのためには避けて通れないテーマもある。例えば日本の核兵器開発や自衛隊による先制攻撃の可能性についてである。日本が当面このような方向に進むとは全く思えない。しかしだからこそ、具体的に何が出来るのかについて、日本国内そして日米間できちんとした議論と認識が必要である。

英語の原文: "Mr. Abe's Aggressive Agenda"
http://www.glocom.org/debates/20070124_gloss_mr/
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