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注目記事 (2007/3/26)

Opinions:
 
「羽田空港の国際深夜・早朝便の開設を」
 伊藤隆俊 (東京大学教授)
  
  海外の主要空港では早朝から深夜まで乗客や空港内で食事や買い物を楽しむ人でにぎわっているのに対して、日本の玄関である成田空港は、深夜・早朝の離着陸が原則禁止されているために早朝と夕方は閑散とした状態である。いずれにしても成田発で出掛ける場合、その日の行動圏は著しく狭い。
  こうした問題は、羽田空港での深夜・早朝の国際線の就航によって解決が可能である。それによって、パリ、ロンドン、フランクフルトなどへのビジネスや観光の旅行が著しく便利になり、時間を有効に使えるようになる。これでヨーロッパとの往復の利便性はようやく香港、バンコク、シンガポールと並ぶことになり、また計算上は、北京、香港、マニラなどが東京から日帰り圏に入ってくる。
  搭乗客の利便性の向上だけでなく、羽田の有効利用は大きな経済効果をもたらすであろう。東京に金融機関の数が増えて、国際金融センターになる可能性が高まること、東京がアジアのゲートウェイの地位を占める可能性が出てくること、日本の地方都市と海外との間で旅行客が増加すること、羽田周辺および東京地域の空港関連産業への需要刺激と雇用増加が期待できることなどが挙げられる。
  空港の利便性向上は、対外戦略上非常に重要であり、目に見える具体的な政策であるといえる。そこで以下のような提案を行いたい。
  まず、羽田の深夜・早朝便の開設のため、内外航空会社を平等に扱い、相手国と交渉する。また入国手続きや公共交通機関など、必要な空港関係のインフラ整備を行うとともに、羽田に新設される国際線ターミナルと国内線ターミナルの連絡を向上させる。さらに、ソウルなど近隣都市とのシャトル便では、相互に入国手続きを出発国で済ませて、相手国の国内便のゲートに直接乗り入れ、入国時の時間を短縮、国内線への乗り換えを楽にする。
  最後に、今後の航空交渉では、日本と結びつきの強いアジア諸国を中心として、乗り入れ空港の選択、便数などを自由化する「オープン・スカイ協定」を目指すこと。政府間交渉なしに航空会社の判断で、市場の需給に応じて柔軟に増減便できる仕組みを構築することが必要である。

英語の原文: "A Case for International Flights at Haneda Airport: For Early Morning and Late Evening Flights"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20070326_ito_case/
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