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注目記事(2007/4/9)

Opinions:
 
「情報社会のグローバルなマインドセット」
 小林寛三 (国際大学GLOCOM客員研究員、ITコーディネータ協会事務局)
  
  情報社会においてグローバル化が急速に進んでいる。現実の世界がグローバル化する一方で、資源や富の偏在によって形の歪んだ世界に我々が住んでいることもまた一つの現実であるといえる(例えば、各国の面積を石油埋蔵量に比例して表すならば非常に歪んだ世界地図が描ける)。そこで情報革命が進む現在、グローバル化の流れの中で、我々がどこにいて何をすべきかを考えることは非常に重要である。
  そもそも「グローバル化」とは何であろうか。まず国境に焦点を当てれば、少なくとも経済的には世界はますますボーダーレスになり、国際的な相互依存が強まっている。しかしそれと同時に、国民が従うべき法律や規制を制定して実施することのできる唯一の法的実体が国家であることは依然として変わっていない。また国家の目標や政策が、グローバル化を促進するような国際的な合意や取り決めの基本になっていることも確かである。
  次に、我々のマインドセットに焦点を当てると、ローカルな価値(閉鎖的な伝統的価値)とグローバルな価値(開かれた普遍的価値)のどちらを取るかという選択に日々直面するようになっている。これは特に、伝統的価値に従う「本音」と開かれたグローバルな価値や行動様式である「建前」とを分ける日本社会で顕著になっている。明らかに、地理的、歴史的、文化的理由などにより、日本人が欧米人よりもこの点でグローバル化に時間がかかることはやむをえない。
  しかし抵抗があるにしても、ビジネスの分野でのグローバル化は、日本を含む各国で顕著にみられることは確かであろう。それは主にマネーや情報が国境を無視してグローバルに動くようになったことが大きいといえる。それでは、我々の日常生活はどうであろうか。21世紀の新しい情報社会においては、個人がパワーを見出して社会を変革していくまったく新しい時代(いわゆる「ウェブ2.0」の時代)に入りつつある。それと同時に、個人のパワーが強まる傾向により、パワーの中心がこれまでの欧米から、BRICsのような地域やグループに移動しつつあることが指摘されるであろう。
  そのようなグローバル化した世界で、日本の存在感が低下しているといわれる。実際に、急速に成長して存在感を高めている中国やインドに比べると、そのような印象は不可避と思われる。しかしそれを単に日本政府を責めることで済ませてはならない。なぜなら今や長期的な視点から根本的に世界を変えられるのは既存の組織ではなく、個々人だからである。日本人も個人としてできることは多く、例えば、ボランティア団体を立ち上げたり、そのような活動に参加したりして、環境問題などのグローバルな問題に対処して、自分の存在感や日本の存在感を高めることができる。もちろん、それと同時に個人が情報社会で得たパワーに対して、自己訓練、自己規律、自己評価を行うことについて重い責任を負っていることにも留意する必要があろう。

英語の原文: "Global Mindset in the Information Age"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20070409_kobayashi_global/
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