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注目記事(2007/5/1)

Opinions:
 
「根深い官僚制に挑む安倍改革の行方」
 石塚雅彦 (フォーリン・プレスセンター評議員)
  
  定年前に退任する官僚に手厚く民間企業や団体の役職を紹介する「天下り」の慣習は長年続いているために、管轄下の企業は監督官庁の役人を受け入れざるを得ない。問題は根深く、天下りの体制下では、官僚は非常に楽な仕事に就くことが保障され失業の心配がない。その見返りとして、天下った元官僚は出身官庁の同僚に口をきいて、その新たな雇用者である企業が監督官庁の規制の網をくぐり抜けられるようにする。
  産業界や一般国民はこの天下りをかつては容認し、ある場合には歓迎したこともあったが、いまではこの制度とその弊害が大きな政治問題となっている。主要な問題の一つは、公共事業における談合であり、この慣習はあまりに広がって根絶することが難しく、最近でも大きなスキャンダルを引き起こしている。天下りが産業界と官僚の間の癒着を生み出すかぎり、この問題はなくならない。
  そしてついに安倍首相が天下りの改革に乗り出した。現在検討されている法案によると、官僚は早期退職して自分の省庁の監督下にある企業に就職することは禁止され、その代わりに一元化された中央官庁官僚の再就職斡旋のための「新人材バンク」が創設される。それによって、各省庁の管轄企業への影響力を排除することが期待されている。
  この案に対しては、自分たちに都合の悪い法律をすり抜けるのがうまい官僚たちの前で、どれだけ本当の変化をもたらせるのかという懐疑論が出されている。この問題に対する真の解決策としては、官僚の権力を削減するか、あるいは官僚が定年まで退官しなくてすむように人事制度を改革する以外にないであろう。
  官僚はあくまで支配権を手放そうとしないモンスターのような存在に見えるが、しかし他方、産業界や消費者も、その責任の一端を担っているといえる。実際、このところ日本は一連の企業スキャンダルに悩まされており、例えば、証券会社の不正経理、保険会社の保険金不払い、菓子メーカーの衛生上の規則違反、建設会社の入札談合問題などが挙げられる。それにより、政府機関に監視されなければ、民間企業は本来的に人を欺くのではないかという不信感を人々に与えてしまい、官僚が民間企業やメディアに対しても規制を強化する格好の口実になっている。消費者もまた、これらの不祥事が起きるのは監督官庁に責任があり、官僚がしっかりと監視することを望むようになったといえる。
  しかし、われわれの目指すのは真に自由で効率的で独立心を持った社会であり、それを実現するためには、独善的な官僚制を廃止することが決定的に重要である。官僚が誤謬を犯さないとする態度は、民間を見下すことを意味し、独善的な官僚制を維持する結果になってしまうのである。

英語の原文: "Abe's Reform Drive a Battle with Deeply Rooted Bureaucracy"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20070501_ishizuka_abe/
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