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注目記事(2007/7/30)

Opinions:
 
「歴史問題のオープンな議論を」
 目良浩一 (南カリフォルニア大学教授)
  
  本プラットフォーム掲載の拙稿「日本の高まるナショナリズムへの対応」(2006年)で指摘したように、20世紀中の日本の行動に対する海外での受け止め方の故に、自分たちが世界で他の国民と必ずしも対等に扱われていないことにますます多くの日本人が気づくようになっている。日本と中国や韓国などとの間で問題になる「歴史問題」がその例である。しかも、このような問題が起る趨勢は減少するどころか、最近の「南京虐殺」の映画上映や「慰安婦問題」の米上院決議などでより激しくなっている。それに対して、これまで日本政府は沈黙を守るか謝罪するだけで、自己の立場を示して日本の行為についての誤解や誤報を正すような主張をしてこなかった。
  このような国際社会で一般化している日本の過去への批判の結果として、日本の高齢者層だけでなく、若年世代も自分たちが戦前や戦事中の出来事とは無関係であるにもかかわれず、何らかの後ろめたさを感じる傾向があり、これは日本にとっても世界にとってもあまり健全なこととはいえない。今やるべきことは、日本に関するさまざまな「歴史問題」を公平で客観的な視点から再検討することであり、政治やイデオロギーの力に影響されずに異論も含めてオープンに議論することが重要である。特に以下のような問題が再検討の対象になるであろう。
  (1)東京裁判の妥当性、公平性と意義、(2)戦後日本の占領政策の問題点、(3)戦前の日本と列強諸国のアジア戦略、(4)日本軍の「残虐行為」の虚実、(5)人種差別と戦争との関係、(6)太平洋戦争の原因と結果および原爆投下の問題点など。
  これらの問題の多くは日本でこれまでオープンに議論されてこなかったが、その主な理由はこれまで日本を外国の攻撃から守る核の傘や軍備を提供してきた米国の機嫌を損ねたくないということであった。しかしながら、このような問題をオープンに議論することは、むしろ日米関係をより平等で正常なものにすることに役立つ可能性が高い。冷戦後およびイラク戦争後、米国はその歴史や思想を再検討する必要に迫られるこの時に、日本は自分の地位を見直すために日本の視点からこのような問題を取り上げる絶好のチャンスであるといえる。
  日本がやるべきことは、国際社会で日本の立場を理解し主張する人たちを支援して、「歴史問題」に関するオープンな議論を奨励することである。その点で、日本は安倍内閣の「主張する外交」以上に国際社会で強く自らの立場を打ち出すとともに、日本国民も特に20世紀前半の日本の歴史をよく勉強することで、自らの後ろめたさを払拭し、日本国民としての誇りを取り戻すべきである。そうすることが、日本と米国を含むアジア太平洋諸国との関係を正常化する第一歩になるであろう。
英語の原文: "Toward Open Discussions of Japan's History Issues"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20070723_mera_toward/
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