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注目記事(2007/10/24)

Commentary:
 
「深刻な日本の騒音問題」
 ダニエル・ドーラン (東北大学教授)
  
  最近東京で騒音に関する住民の苦情により、噴水の水が止められたニュースはかなりの論争を巻き起こした。その騒音のもとは、夏の暑い日に噴水の回りで遊ぶ子供たちの大きな声であったが、この件についてその後寄せられた意見の中では子供たちに同情的なものが多かったとのことである。噴水のある公園では子供が遊ぶのが当然なので、その限りでは子供の側に支持が多いのは妥当だったといえよう。
  その賛否はともかく、今回のような市民の活発な意見の表明が、騒がしい子供たちの声の場合になされたのに対して、宣伝カーの拡声器から流れるパチンコ屋の宣伝や右翼のプロパガンダや政治家の名前の連呼などの騒音はそれほど問題にされていないようにみえる。
  言論の自由を唱える人たちは、日本は民主国家であるから公の場所で誰が何を言おうとそれは支持されるべきと主張するであろう。もちろん言論の自由は、市民の基本的権利であることは確かであるが、しかしそれが個々人の生活・プライバシーの権利に抵触する場合はできるだけ抑制されなければならない。その意味で、日本ではもっと抑制されるべき場合が多い。
  米国の判例では、拡声器を使うような表現方法は、場所や時間や音量がかなり制限されている。日本でも手渡しの宣伝ビラなどは受け取るかどうかが自発的に選べ、またテレビなどでの宣伝も見るかどうかが自発的に決められる。さらに公の場で拡声器を使わずに生の声で宣伝している場合には、そこから距離を置くことで聴く音量が調整できる。それに対して拡声器を使った宣伝は、聞こえる範囲の人々にそのような選択の余地をほとんど与えない。宣伝カーから拡声器を使って流される騒音はなおさら問題である。
  このような法律上の問題を超えて、拡声器の騒音は人間の健康にもマイナスの影響を与える。WTOによる2001年の調査研究と健康基準によれば、過度の騒音によって引き起こされる健康障害として、難聴、ストレス、精神的な病気および不安や鬱のような症状があるとされている。

英語の原文: "Why Amplified Sound is a Problem for Japan"
http://www.glocom.org/debates/20071018_dolan_sound/
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