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注目記事(2008/6/9)

Activity Report:
 
「報告:日本の過去、現在、未来を憂える:米国での議論」
 情報発信機構 (宮尾尊弘国際大学情報発信機構長)
  
  米国ロサンゼルス地域で日本人の有志がディスカッショングループを作り、日本の歴史や国際関係に関する意見を交換する会を毎月開催しており、6月1日にはロサンゼルスの「リトル・トーキョー」地区にある日米文化会館で、20人ほどのメンバーが参加して、目良浩一南カリフォルニア大学教授の司会のもとに2冊の本を講読し、質疑応答と自由討論を行った。
  最初に取り上げられた本は、佐藤優・高永普w国家情報戦略』で、この本についての討論では、日本の政治家もビジネスマンも「インテリジェンス」の重要な役割に対する認識が欠如していることが指摘された。これは政府も民間企業も日々インテリジェンスの重要性を十分に認識している米国の状況とは好対照である。ただし、この本の著者(特に高永普jが、日本はCIAと競合するようなインテリジェンス機関を立ち上げるべきと主張しているが、仮に可能だったとしてもそれを米国が許すかどうか、また著者たちが述べているように日本の戦前のインテリジェンスの質がそれほど優れていたかどうかについて、参加者の中から疑問が投げかけられた。
  次に議論されたのは、西村幸祐『「反日」の超克:中国、韓国、北朝鮮とどう対峙するか』で、この本について、まず中国や韓国における反日感情は、最近の日中関係や日韓関係を改善しようとする双方の動きの結果、今や変わったのではないかという問題提起がなされた。しかし参加者の多くは、事態は根本的には何も変わっておらず、特に中国の「自己中心的」で「覇権的」な態度は依然として強く、日本のマスコミは最近の中国に日本に対するアプローチの真意を十分批判的に伝えていないという意見のように見えた。
  ただし、以下の点では、参加者の間で意見の違いも明らかになった。(1)はたしてインターネット、特にブログは、マスコミ情報を補完するのに適した情報を得る手段であるのか、(2)日本のビジネス(マスコミを含む)が政治的スタンスは別にしてビジネス上「親中」になることは避けられないか、(3)日本の中国や朝鮮に対する戦時中の関係について「国家主義的」な解釈をすべきか「第三者的」な解釈をすべきか。
  いずれにしても、日本の過去、現在、未来についてこのような議論が、ロサンゼルスのような場所で聞かれたことは非常に新鮮で感動的であった。ある意味で、海外在住の日本人のほうが日本在住者よりも母国がどうなるかにより強い関心を払っているといえる。それは海外に在住する日本人としてのアイデンティティにとって決定的に重要だからではないだろうか。

英語の原文: "Concerning Japan's Past, Present and Future: Discussions in the U.S."
http://www.glocom.org/special_topics/activity_rep/
20080606_miyao_mera/
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