GLOCOM Platform
debates Media Reviews Tech Reviews Special Topics Books & Journals
Newsletters
(Japanese)
Summary Page
(Japanese)
Search with Google
Home > Summary Page > 詳しい記事 BACK

イラク支援には明確な理念を

大野健一 (政策研究大学院大学教授)


オリジナルの英文:
"Clear Principles Needed for Supporting Iraq"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20030508_ohno_clear/


要 旨


1992年に閣議決定された現行の政府開発援助大綱(ODA)の改定作業が進んでおり、今年中ごろまでに見直されることになっている。今回は、成長・貧困などの開発問題に加え、平和構築・人間の安全保障が盛り込まれる見込みである。しかし今の方向のままでは、カネを出すが開発戦略は他国や国際機関に委ねて来たという従来の日本のやり方を改善するには至らない。


イラクを巡り、日本は、当初から無条件で米欧の支持を明確に表明した。一部にはこのように立場を明瞭にしたことや、北朝鮮の脅威に備える姿勢として、この行動を評価する向きもあるが、日本として米国を支持することは良いとしても、友人なりの牽制のしかたがあったはずである。現地の事情なども考慮すべきであり、米英の攻撃を支持しておいて、あとで多額の援助をすれば中東の人々に喜ばれるという単純な話ではない。


イラクの戦後に関しても、日本はまず金と人を素早く提供することを最優先に考えている気配が見えるが、場当たり的な紛争後の支援だけでは不十分である。イラクにとって、外貨収入の確保策や今後の成長政策、産業育成戦略などが重要であり、政策目標の優先度を決めて行くことが肝要である。復興の主導権争いより大切なのは長期的ビジョンである。


改定作業中の新ODA大綱では、日本の援助理念を格調高く謳いあげるべきである。平和・繁栄といった字句を並べるだけではなく、世界の現状を的確に把握した上で、日本として今世界に提示したい価値、行いたい貢献、占めたい地位を明確に織り込むことが望ましい。平和構築や人間の安全保障は誰にも受け入れやすい理念だが、ODA政策の根幹に据えるためには相当の準備が必要であり、日本はまだそれを終えていない。

(日本語訳:浦部仁志)

 サマリーページへ
 Top
TOP BACK HOME
Copyright © Japanese Institute of Global Communications