GLOCOM Platform
debates Media Reviews Tech Reviews Special Topics Books & Journals
Newsletters
(Japanese)
Summary Page
(Japanese)
Search with Google
注目記事(2008/1/22)

Activity Report:
 
「報告:日本の外交・防衛に関するサミュエルズMIT教授の講演」
 情報発信機構 (宮尾尊弘国際大学情報発信機構長)
  
  東京の海外特派員協会で1月16日に、MITの教授で日本研究ディレクターのリチャード・サミュエルズ氏が日本の安全保障と外交政策に関する講演を行った。その要旨は以下の通りである。
  最近、国会で安全保障と外交政策における日本の戦略について議論が白熱しており、コンセンサスが得られそうもなく、この分野で今後の見通しが立たないようにみえる。しかし、日本の安全保障と外交政策について過去から現在を詳しく分析すれば、将来が少し見えてくるであろう。様々な議論が戦わされた後に、コンセンサスが得られるといった状況は、過去19世紀にも20世紀にも時折見られたことである。
  特に戦後に焦点を当てれば、出発点は「吉田ドクトリン」に基づくコンセンサスで、この経済第一主義の安全保障戦略は冷戦時に日本国民に受け入れられた。しかしそれから日本は徐々に変わって行き、今や日本は「事実上」の軍事力を持ち、自衛隊は国民に受け入れられ、専守防衛に限らず海外派兵までも行うようになっている。これは戦後徐々に進んできた動きであったが、2000年代に小泉政権が誕生してからその動きが加速したことは確かである。
  はたして将来はどうなるのか。以上のような「普通の国」主義者の主張が支配的となり、「吉田コンセンサス」はまったく消えてしまうのだろうか。しかし実際には、多くの「普通の国」論者は憲法の平和主義を支持しており、独立した防衛体制の整備を主張していない。他方、軍事力によらない「ミドルパワー」としての日本を主張する国際派も、日本が「普通の国」に近づいていく長期的トレンドを徐々に容認しつつある。また両派とも、日本が米国からもう少し自立し、中国や他のアジア諸国と友好関係を強めるべきという点では一致している。
  さらに、自立した軍備を強調する「独立論者」も、非武装中立派の生き残りともいうべき「平和主義者」も共に日米同盟には批判的であるものの、米国との関係を完全に断ち切れとは言っていない。「普通の国」主義者も、「ミドルパワー」国際派も、独立論者も、平和主義者も、皆が自衛隊の合法性を認めており、また中国を平和的に国際社会に招き入れるべきという点でも意見が一致している。
  したがって、「吉田コンセンサス」に次ぐものとして「中道コンセンサス」が浮上し、日本は米国とも中国とも近づきすぎず離れすぎずの関係を保ち、アジア地域でのプレゼンスは強すぎもせず弱すぎもせずの状況になる可能性が高い。これはある意味で、将来起きるかどうか分らないが、中国の台頭と米国の衰退に対して十分なヘッジにもなる。これは日本のリーダーが意識的に選択している「ゴルディロックス状態」と呼ばれる中庸かつ最適な戦略といえるであろう。
  以上のような講演に続く質疑応答のセッションでは、外国人記者が特に米中関係とその間にはさまれた日本の位置について質問が集中した。サミュエルズ教授はそれらの質問に対して、日本はあくまで戦略的な選択を行っていると主張し、日本の将来の見通しについても比較的楽観論を提示していたのが印象的であった。

英語の原文: "Consensus and Strategy in Japan's National Security: MIT Professor Samuels"
http://www.glocom.org/special_topics/
activity_rep/20080122_miyao_fccj/
. Top
TOP BACK HOME
Copyright © Japanese Institute of Global Communications