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アジア債券育成を新しい発想で

伊藤隆敏 (東京大学教授)


オリジナルの英文:
"New Ideas Needed to Foster Asian Bond Market"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20030717_ito_new/


要 旨


「アジアボンド基金」設立に向けての論議が盛んである。通貨危機の再発防止のためにも、アジアの中で資金還流を完結させることが必要であるとの認識に基づく、アジア債券市場の重要性が言われて来たが、昨年来タイのタクシン首相のリーダーシップの下で、東アジア・オセアニア中央銀行役員会議やアジア欧州会合の場での認知を踏まえ、基金の設立が具体化してきた。


この構想の基礎には、全体として貯蓄超過であるアジアの中央銀行や民間機関がドル建て資産運用を行う一方で、この地域の借り手が現地通貨を必要とする場合、銀行が欧米からドルを調達し、現地通貨に転換して貸し付けるという「資本逆流」の認識があり、このような資金の流れをアジアの中で完結させることが肝要であるとの意識がある。


しかしこうしてみると、今回のアジアボンド基金は、通貨危機の再発を防ぐための仕組みにはなっていない。まず、基金の投資対象がドル建て債に限られることにより、通過変動リスクを解消しておらず、特に急激な変動の際には、基金のバランスシートが一気に崩壊してしまうおそれがある。また、活発なトレーディングは期待できないことから、市場の活性化にはほとんど寄与しないであろう。


そこで、オフショアにアジアボンド発行・保証会社(ABC会社)を創設することを提案する。この会社は、各国政府が自国通貨建てで発行する国債を購入し、これを資産(担保)として、その担保債券の構成に応じたいわばバスケット通貨建ての債券を発行し、投資家に販売する。これにより、通貨変動リスクを軽減しつつ、各国国債の信用度と利回りをバランスさせるという、投資家にとっても魅力的な商品ができる。こうすれば、アジアの通貨のみを利用し、地域内での資本還流を実現しつつ、債券市場の育成にも寄与しよう。

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