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戦争の被災児たちを救う具体的提案

猪口 孝 (東京大学教授)


オリジナルの英文:
"A Couple of Specific Policy Proposals to Inculcate a Culture of Non-Violence among War-Affected Children "
http://www.glocom.org/opinions/essays/20040105_inoguchi_couple/


要 旨


ユネスコ憲章は、その前文で「戦争は人の心の中で生れるものである」と認識し、非暴力の文化を唱道している。いま、我々に必要なのは、戦争の被害を受けて荒んでしまった人達の心を癒し、救うべく努力することである。戦争や暴力により家族や友人が殺された人達が抱える心の傷、他人に対する不信感、そして意見の違いを武力で解決したくなる気持ちから、この人達を救出しなければならない。


この救出作業は、特に子供達に重点を置いて行わなわれるべきである。第一に、子供達は戦争や暴力に対して直接間接に最も被害を受け易いからであり、第二に、彼らは適応性が高い、即ち新たな教育の効果が高いからである。子供達は大きな可能性と大きなリスクを担っている。そこで、戦争の被害を蒙った子供達への教育に関し、二つの具体的な行動の仕組みを提案したい。


まずは、戦争被害を蒙った子供達を平和な地域に呼び寄せ、子供を持つ家族と一、二週間一緒に生活し、学校やサマーキャンプにも参加させるような、国際的NGO活動を起こすことである。すでに事例もあり、例えば日本のあるNGOは、10歳前後のパレスチナ・イスラエル紛争の被災児達を日本の家庭に受け入れ、日本の子供達と一緒に生活するという企画を実践している。この計画の良いところは、1)被災児達が平和的環境の中で利害関係の無い家族と過ごすことが出来ること、2)大規模なものである必要がないことから、実行に移しやすいこと、3)被災児の回復と成長を個別に観察できること、にある。


もう一つは、政府とNGOの協力により、被災児の教育にあたるための専門的知識を有する教員を送ることである。専門分野といっても英語でも柔道でも情報科学でも経理でも保健でも良い。このような例も既に幾つかのNGOや政府によって、例えばアフガニスタンで試みられている。この企画の良いところは、1)被災児を戦争と関係が薄い仕事や人生に誘導できること、2)戦争、犯罪、麻薬に関わらない社会の経済的基盤作成に大きく寄与できること、が挙げられる。特に戦争で破壊された社会は、多くの場合、被災者達が麻薬や売春を含む犯罪に関わらないで生きてゆくための経済基盤を有していないことから、後者の意義は大きい。


ユネスコでは、2001年から2010年の10年間、「世界の子供達のための平和の文化と非暴力の国際10年」を推進しているが、これらの施策は、その努力を更に効果的なものにするであろう。

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